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2009-06-20

[雑記]オール電化を採用するのに原発に反対する人

http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2007/07/post_fc4e.html

http://www.arita.com/ar/?p=265

http://blog.livedoor.jp/stop_hamaoka/archives/51355288.html

 

 オール電化についていろいろと考える機会があったので、電気屋(ここでは電気製品販売店でなく、電気系技術者の意)として何か意見してみようかと思ったけど、その論旨はすでにあちこちで言及されたものだったので、リンクを張るに留めておきます。

 僕が「オール電化採用と原発反対」について思うところがあったのは、その二つが矛盾した、いわゆるダブルスタンダードになってしまっているからです。端的に言えば、オール電化のメリットの源泉である安価な深夜電力は、原子力発電所の特性による恩恵であるから、オール電化の導入は、原発の肯定に繋がります(原発を持たない沖縄電力圏内ではいささか事情が変わってきますが)。(注1)

 「オール電化を採用したい。だって便利で安全だから」

 「原発建設には反対したい。だって放射能が危ないから」

 これらそれぞれの意見はそれなりに論理的です。僕の考えとは違うけど、そういう考えを持つ人がいても、さほど気にはならないです。

 でもこの二つを同時に主張されると、どうにも収まりの悪い気分になるのです。

 

 意図的にいいとこ取りをしているのであれば批判もされるでしょうが、知らずに両論を並立している確信犯は果たして責められるべきか。

 無知であることは罪ではなくても、無知を知った上で無知であり続けることは罪なのではないかな、と思うことはあります。

 知らずに矛盾する主張をしてしまうことは誰もがあるとしても、その矛盾を指摘された時に、それを検討する必要があるんじゃなかろうか、と。

 

 ところで。

 以前に関わったとあるゲームに、「絆」という要素がありました。

 これは、同胞のためになることをすれば増加し、同胞のためにならないことをすれば減少し、その値が高ければ高い程より高い能力を発揮する、一種の攻撃力のようなものです。

 増減の判断は主観的な部分もあり、殺そうと思って同胞を刺せば減少しますが、ある種の緊急避難のためにやむを得ず刺したのであれば増加することもあります。後者は武蔵坊弁慶が源義経を殴って男を上げたのに似ています。

 この設定を見て浮かんだのは、確信犯(よくある誤用ではなく、「自らの行為を正しいと信じてなされる犯罪」の意)の絆は、果たして増加するのか減少するのか、という疑問でした。

 良かれと思ってしたことが、巡り巡って(もしくはダイレクトに)同胞たちを苦しめる結果になった場合、その人の絆はどうなるのだろう。

 

「ただ、絆は主観的なだけのものであるという発想は破棄されるべきなのかも知れない。もし絆が主観的なだけのものだとすると、仮にそれをされた相手がどんなに困っても、嫌がっても、『よかれと思って』したことは、輪楔者にとって『よいこと』になってしまう。

 それは、知る努力を放棄させるわ。これをしたら相手が嫌がるかも知れない、誰かが困るかも知れない、と思いながら、それでもやむを得ずやらなければならないことは、輪楔者の絆を減じることになる。ほとんど全てのことは、誰かに利があれば、別の誰かに害をなす。あれこれ考えれば考えるほど、何をしても絆を失う──まあそれはそれで仕方のない、当たり前のことだと思うけれど。差引でプラスになるようなことをしていくべきというのは、輪楔者に限ったことではないし。

 問題なのは、自分のすることが誰かの迷惑になるかも知れないなんていうことを微塵も考えない、本来の意味での『確信犯』の絆は差引もなくただ深められるばかりということになる。──だったら何も知らずにいることも推奨されてしまう」

 

 これは、そのゲームの後日談の中で、登場人物に語らせた台詞です(「輪楔者(ファウ)」というのは、この世界にいる異能力者で、主人公たちです)。

 この発言者は反語的に「何も知らないこと(を推奨されること)」を否定していますが、現実は、もしかしたら彼女の理想通りではないのかも知れません。

 

 先のオール電化と原発について、それと今やすべての免罪符になっている「エコ」について、僕らは「知る努力を放棄させ」られて、「何も知らずにいることも推奨されて」いるような気がしています。何も知らずにオール電化を導入し、原発に反対し、エコ替えすることを、どこかの誰かに推奨されているわけです。

 「オール電化賛成」と「原発反対」の矛盾を解決する一番簡単な方法は、「知らない」ことです。オール電化が原発の恩恵の賜物であることを知らなければ、この二つの主張は矛盾しません。(注2)

 そういう生き方もあるし、その程度で地球は壊れたり救われたりしないと僕は思っていますが、環境保護というのは決して主観的なものではあり得なくて、良かれと思ってしたことであっても、結果的に自然を損なうことだってあるし、そうなったときに「自分は良かれと思ってしたことだから」と責任を逃れようとしても、損なわれた自然によって損害を被ることは避けられない、ということだけは知っておいてもいいんじゃないかと思う。

 もっとも、自然を損なう人と、損なわれた自然によって損害を被る人は、必ずしも一致しないのが罪深いところで。

 

 ちなみに、僕はオール電化については、「生活にある程度の不便が生じてでも光熱費が安くなることに喜びを覚える節約マニアかつ貯蓄家」の方なら導入すると面白いかも知れませんが、基本的に面倒くさがり屋の方にはおすすめしません、という立場です。安全性とか環境負荷とか電磁波とかは、根拠になるデータが曖昧なので論点にするのは避けておきます。

 

※注1、2:原発は出力調整が極めて難しいのですが、火力発電も調整可能とはいえ避けたい、という事情があります。確かに炉を止めることはできますが、一度止めて炉が冷えてしまうと、再度運転する時に、炉を暖めなければならない分が非効率です。原発のない沖縄電力が深夜電力を安くしているのは、このためと思われます(「他の電力会社がやっているから」という対抗意識もあるでしょう)。

 従って、「すべての原発を火力発電所に置き換えても(または原発の発電量分だけ消費電力を削減できたとしても)、深夜電力を割安にする理由は残る」とも言えます。

 ただ、少なくとも現状では深夜割安電力は原発の恩恵ではないかと思う次第。


2009-05-19

[小咄]彼女の短い導火線 4

「期待してよ」

 僕の方を見もせずに、佐野が言った。

「そしたらガッカリさせてあげる」

 視線の先には、コートの中で駆け回る沢口がいた。キュキュと靴のソウルと体育館の床とが擦れる音が耳障りで、何故か慣れるとそんなに悪くもない。 

 僕はしばらくそんな佐野の横顔を見ていたけれど、僕の方を一瞥する素振りも見せないので、首をすくめてコートに目をやった。ちょうどボールが外に出たらしく、プレイが切れていた。そして沢口と目が合う。すると沢口はニコリと笑い、軽く手を振った。僕がのそのそと手を振り替えそうとしたときには、プレーが再開していた。

 この辺りが、「遊び半分」の部分なのかな、と思う。

 じゃあ残り半分は何なんだろう。

「何か言いなさい」

 僕を蹴っ飛ばそうとして、かろうじて踏み留まる。ぐ、と歯を噛み締めるのがわかった。

「だってそんな、始まる前から終わるようなことを言われても」

「つべこべ言わずに、黙って言われたようにすればいいのよ」

 言えと言ったり言うなと言ったり忙しい。

「わかった。期待するよ。でも一つだけ教えて欲しいんだけど」

 口にする言葉を必要最小限に抑えるとすれば、ここで切るべきなんだろう、と思った。

 佐野はコートに視線を戻して、相変わらず心の読めない横顔で押し黙り、一つだけ見出すとすればその手が、白く小さな手が、アリーナの柵を握る力が少しだけ強くなったことくらいか。

「すぐにわかるから」

 結局それだけのことを聞くのに、試合終了までかかった。笛の音が鳴り響いて、どちらが勝ったのかわからないまま、僕は手を叩いた。対戦相手と握手し、ベンチへ礼をして、沢口は僕らの方を見て、疲れも見せずに笑って手を振った。チームメイトの何人かがこちらを見て、沢口に何かを言ったらしかった。また笑って、そのチームメイトの肩を軽く叩いた。

 果たして、残り半分は何なんだろう。僕はそれを見逃してしまったのだろうか。それとも見過ごしてしまったのだろうか。

 

彼女の短い導火線 1

彼女の短い導火線 2

彼女の短い導火線 3


2009-05-18

[雑記]ありがとうございます。

 この前、ふと思い立って検索をしたら、過去に僕が手がけた作品についての感想がヒットしました。

 その感想が書かれたのは、発表した当時じゃなくて、ずいぶん経ってからのものでした。

 「あれからそれなりに時間が経って、今あの子たちはどうしてるだろう?」というような内容で、ああ、この人の中に彼らは生きているんだと、とても嬉しくなりました。

 

 きっとくすぐったいくらいに幸せな毎日を送っているはずです。

 墓場まで持って行くつもりのその秘密も、もしかしたら気づいているかもしれません。

 でも隠そうとしてくれているという気持ちが嬉しくて、もっと愛おしくなるのだと思います。

 

 ありがとうございます。ありがとうございます。おかげで僕はまだもうちょっと頑張れます。



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管理者:波島想太